ベリマーク®SC

大事な育苗期にこの1剤で、
幅広い重要害虫を速やかに防除。
長い残効で、作物をしっかり守ります。

ベリマーク®SCの有効成分シアントラニリプロール(通称:サイアジピル®)は、世界で2番目のアントラニリックジアミド系殺虫成分です。
日本においてベリマーク®SCは葉菜・果菜等の野菜向けの灌注専用殺虫剤として開発され、2014年10月に農薬登録されました。
サイアジピル®は、幅広い殺虫スペクトラム、速やかな食害停止効果、優れた残効性により、害虫の密度を長期間抑え、作物を保護する特長を有しています。
ベリマーク®SCはジアミド系特有のチョウ目害虫、ハエ目害虫に対する優れた効果に加え、コナジラミ類、アザミウマ類、アブラムシ類等にも卓越した効果を示します。
一方で、有用昆虫(天敵・訪花昆虫)への影響は少なく、IPM(総合的病害虫・雑草管理)に適合しています。
また、害虫への効果発現が早いことから、害虫によるウイルスの媒介抑制効果も確認されており、新たな害虫防除体系の確立に貢献できる製品として期待されています。
5つの優れた特長
1. 幅広い殺虫スペクトラム
コナジラミ類、アザミウマ類、アブラムシ類、ハモグリバエ類や、ハスモンヨトウ、オオタバコガ、コナガ等のチョウ目害虫等の幅広い害虫種、害虫の各ステージに高い効果を発揮します。
2. 速やかに食害をストップ ウイルス媒介の抑制効果も
害虫の摂食・吸汁行動を速やかに停止させます。害虫によるトマト黄化葉巻病、きゅうり黄化えそ病のウイルス媒介を抑制する効果も認められています。
3. 速やかな吸収移行性による長い残効性
本剤を灌注処理すると薬剤は速やかに根から吸収されて作物の導管を通して地上部に移行します。この作用により定植後3~4週間の残効を示します。
4. 有用昆虫、周辺環境等に対する高い安全性
天敵、訪花昆虫への安全性が高く、IPMプログラムに組み込むことが可能です。また、灌注処理なので周辺作物へのドリフトや使用者への薬剤被ばくも少なくすることができます。
5. 初期生育の作物に対する高い安全性
育苗期の灌注処理に適した製剤となっているため苗に対して高い安全性が確認されています。
上市以来、薬害の事例はありません。
殺虫スペクトラム
コナジラミ類、アブラムシ類、アザミウマ類、また有効成分サイアジピル®
ならではのチョウ目害虫など幅広い害虫に優れた活性を示します。
サイアジピル®として確認されている殺虫スペクトラムは下記の通りです。
発育齢別活性
若齢幼虫から成虫まで幅広い害虫のステージに効果を示します。
●成虫に対する効果(タバココナジラミ)
ベリマーク®SCを灌注処理したトマト苗において、成虫への高い殺虫効果を示しました。
また、産卵数も減少し、次世代の密度抑制効果も確認されました。

2017年 デュポン・プロダクション・アグリサイエンス(株)
【試験概要】
- 対象作物:
- トマト(品種:ハウス桃太郎)
- 処理方法:
- 4.5号プラスチックポットへ定植時同時処理(処理1時間後100㎖灌水)
- 処 理 量:
- 400倍希釈液を1ポット25㎖灌注
- 放虫方法:
- タバココナジラミ成虫400頭程度をケージ(横2面は網)に処理ポット株元から株上部のみ出る様に、板に切り込みを入れ、設置。設置後、網の切込みから虫を投入。
- 処 理 日:
- 12月19日
- 調査方法:
- 25℃室温、16L8Dで管理。処理1日後、2日後、3日後および4日後に死亡虫を計数。処理7日後に死亡虫および産卵数を計数。

ベリマーク®SC処理区では、タバココナジラミ成虫の落下や死亡が確認されました。
●孵化幼虫に対する効果(ナモグリバエ)
ベリマーク®SCを灌注処理したレタス苗では、孵化直後の幼虫に高い効果を発揮し、葉内に産卵するナモグリバエも効果的に防除することができます。

2014年 大塚アグリテクノ(株)(現 OATアグリオ(株))
【試験概要】
- 試験期間:
- 2月28日〜3月18日
- 対象作物:
- レタス(シスコF)
- 播 種 日:
- 1月5日
- 定 植 日:
- 3月3日
- 区 制:
- 1区6株1反復
- 処理方法:
- 株元に2.5P/株灌注した後、プランターに定植し、ガラス温室内にて底面給水にて管理
- 放虫方法:
- 処理3日前、レタス苗に対しナモグリバエに6時間産卵させた。
- 調査方法:
- 処理10日後、15日後に全株のマイン数をカウントした。
●1齢、3齢、成虫に対する効果(ワタアブラムシ)
ベリマーク®SCは、1齢幼虫、3齢幼虫並びに成虫のいずれの発育ステージでも十分な効果を示しました。

2013年 日本曹達(株)小田原研究所
【試験概要】
- 対象作物:
- きゅうり(光3号P型)
- 区 制:
- 1区1株3反復
- 処理方法:
- 9cmポリポット植えのきゅうりに、ベリマーク®SCを所定濃度(400倍)の薬液25㎖で灌注処理した。
- 放虫方法:
- 処理5日後、ワタアブラムシ1齢、3齢若虫および成虫を株あたり30頭放虫した。
- 調査方法:
- 恒温室(25℃)で管理し、放虫1、3日後に生存・苦悶虫数を調査した。
温度別殺虫活性
温度による影響を受けず安定した活性を示します。
●処理温度別の殺虫効果(ハスモンヨトウ)

2013年 クミアイ化学工業(株)生物科学研究所
【試験概要】
- 接 種 日:
- 10月9日
- 対象作物:
- キャベツ(金系201号)
- 播 種 日:
- 9月3日
- 定 植 日:
- 9月25日
- 処 理 日:
- 9月20日
- 区 制:
- セルトレイ(処理時)、4号素焼き鉢(定植時)
60㎖プラスチックカップ(接種時) 3連制 - 処理方法:
- 15℃、25℃、35℃の人工気象室内で、セルトレイ1株当たり3.9㎖灌注処理し、処理5日後に素焼き鉢に苗を移植
- 放虫方法:
- 移植後14日目に1株当たり葉を1枚採取し、供試虫10頭を接種
- 調査方法:
- 供試虫の接種3日後に死虫率を調査
●処理温度別の殺虫効果(ワタアブラムシ・1齢幼虫)

2013年 日本曹達(株)小田原研究所
【試験概要】
- 対象作物:
- きゅうり(光3号P型)
- 区 制:
- 1区1株 3反復
- 処理方法:
- 9cmポリポット植えのきゅうりに、ベリマーク®SCを所定濃度(400倍)の薬液25㎖で灌注処理した。
- 放虫方法:
- 処理5日後、ワタアブラムシ1齢若虫を株あたり30頭放虫した。
- 調査方法:
- 恒温室(25℃)またはインキュベータ内(18℃)で管理し、放虫3日後に生存・苦悶虫数を調査した。
ウイルス媒介抑制効果
ベリマーク®SCは国内の試験事例において、トマト黄化葉巻ウイルスの媒介抑制効果が認められています。また、海外の事例では、複数の野菜において数種のウィルス病の発病率を低下させた事例があります。ベリマーク®SCの有効成分であるサイアジピル®自体にウイルス病に対する効果はありませんが、ウイルスを媒介するコナジラミなどの保毒虫の行動を阻害するその作用機作によってウイルスの媒介抑制を引き起こしているものと考えられます。サイアジピル®の作用機作がウイルス媒介抑制効果を発現する要因として以下のものが考えられます。
●殺虫効果による
保毒虫密度の低下
圃場内での
ウイルス媒介機会の低減●筋収縮による
吸汁摂食行動の抑制
保毒虫の病原体の獲得、
伝達を低減●筋収縮による
飛翔・移動行動の抑制
圃場内外への
保毒虫の分散を低減●筋収縮による
生殖行動の抑制
圃場内の保毒虫の
累代増殖数を低減※各種ウイルス病対策にはベリマーク®SCをはじめとする殺虫剤による保毒虫の密度を低下させるとともに、ウイルス抵抗性品種の導入、保毒虫の侵入阻止、健全苗の使用、圃場周辺の整備等の対策が必要です。
●ウイルス病と媒介昆虫
サイアジピル®は上記の作物・病害においてウイルス媒介抑制効果が確認されています。出典:DuPont, Global Development Database●ベリマーク®SCのウイルス媒介抑制効果(トマト/黄化葉巻ウイルス)

2014年 福岡県農林業総合試験場
【試験概要】
- 品種名:
- ハウス桃太郎
- 定植日:
- 2014年10月21日
- 区 制:
- 1区16株・2反復

作用特性/吸収移行性
筋肉細胞の筋小胞体は細胞内のカルシウムイオン濃度を調整することにより筋肉の収縮・弛緩をコントロールしています。
サイアジピル®は筋小胞体のリアノジン受容体(RyR)に結合して筋小胞体のカルシウムイオンを細胞内に放出させます。
その結果、昆虫は筋収縮を起こして速やかに活動を停止し、死亡します。
また、昆虫のリアノジン受容体に選択的に作用し、ヒトの受容体に反応しないことがヒトへの安全性が非常に高い理由です。
●サイアジピル®作用機構

サイアジピル®は昆虫の筋肉に作用して昆虫の行動に影響を与えます。
有効成分が根部からの速やかで優れた吸収と上位葉、展開葉への速やかな移行性
ベリマーク®SCは、灌注処理を行うことで、土壌中の作物根部から効率よく吸収されるよう調整されています。ベリマーク®SCを土壌に灌注処理すると導管を通して作物上部に移行し、有効濃度が作物内に3〜4週間存在します。また、処理時に作物体に付着した成分も茎葉部より作物内部に速やかに移行します。これにより害虫に対して優れた残効性を示します。
下図は放射性同位体を標識としたサイアジピル®をトマトに灌注処理した場合の薬剤の吸収状況を示しています。
●放射性同位元素14Cを使った葉内への成分の展開(処理日からの日数1、3、7、14、28日)
4葉期のトマトの苗にサイアジピル®188ppmを30P灌注した。
定植1、3、7、14、28日後に葉を採取し2日強、ガラス板上に挟みFuji Phosphor imagerでスキャンした。
(2010年 米国デュポン社 スタインハスケル研究所)

ベリマーク®SCは、上位葉に移行し速やかに有効濃度に達します。植物の成長にともない、根部から吸収された
ベリマーク®SCは植物体に移行し、新たに成長する部位にも長期間の優れた防除効果を維持します。
速やかな効果発現
速やかに効果を発現。
●孵化幼虫に対する効果(ハスモンヨトウ)

2014年 OATアグリオ(株)研究開発部
【試験概要】
- 試験期間:
- 5月8日〜5月12日
- 対象作物:
- キャベツ(四季穫)
- 播 種 日:
- 4月9日
- 定 植 日:
- 5月8日
- 区 制:
- 1区 2株 2反復
- 処 理 日:
- 5月8日
- 処理方法:
- ベリマーク®SCの400倍、対照A剤は200倍にそれぞれ水道水で希釈し、キャベツの株元に株当り2.5㎖灌注した後、培土を充填したプランター(25㎝×12㎝×15㎝)に定植し、ガラス温室内で底面給水にて管理した。
- 放虫方法:
- 処理1,3,6,12時間後に第3葉をサンプリングし、孵化直後の1齢幼虫を20頭ずつ放飼して恒温室(25℃±2℃)に静置した。
- 調査方法:
- 放飼4日後に生死虫数をカウントして補正死亡率を算出した。
- 考 察:
- ベリマーク®SCのハスモンヨトウ孵化幼虫に対する効果発現は処理1時間後から認められ、処理12時間後まで対照A剤と同様に死亡率100%で推移した。
有用昆虫への影響
●有用昆虫への影響

*:天敵等に対する影響は◎:死亡率0~25%、○:25~50%、△:50~75%、×:75~100%(野外・半野外試験)、
◎:死亡率0~30%、○:30~80%、△:80~99%、×:99~100%(室内試験)
訪花昆虫に対する影響は影響日数。常用濃度に幅がある場合は、濃度が高い方で試験を実施した。
セイヨウオオマルハナバチ
スワルスキーカブリダニ
コレマンアブラバチスワルスキーカブリダニ写真提供:アリスタライフサイエンス(株)