アザミウマ目の特徴と効果的な防除方法
野菜に被害を及ぼす主要害虫の特徴と、効果的な防除情報をご紹介します。
ミカンキイロアザミウマ
アザミウマ目 アザミウマ科
Frankliniella occidentalis (Pergande) Western flower thrips
成虫
なすの被害
【加害作物】加害作物は広範だが特に問題となるのはナス科、ウリ科
1990年に初めて確認された、海外からの侵入害虫である。雄・雌とも橙黄色の1.5mmほどの紡錘形をした微少害虫で、後述のミナミキイロアザミウマなど他のアザミウマ類と、肉眼での区別は難しい。
丈夫なくちばし状の口を、植物組織にたたきつけて壊し、汁を吸う。このため葉が白斑から褐色のかすり状に傷ついたり、果実が曲がったり白斑を生じたりする。ウィルスの媒介も行う。
侵入当初から、多くの農薬に対する抵抗性を身につけており、ミナミキイロアザミウマとは、有効な薬剤が異なる場合があるので、注意する。
また蛹の時期は、植物体から離脱し土中で過ごす。このため多発した場合は、一度の薬剤散布で作物地上部を防除しても、まもなく新成虫が発生してくる。
*本説明内容は2018年9月時のものです
防除に効果的な農薬
●ベリマーク®SC

大事な育苗期にこの1剤で、
幅広い重要害虫を速やかに防除。
長い残効で、作物をしっかり守ります。
いちごモトジロアザミウマ・ミカンキイロアザミウマに対する防除効果

2016年 日本曹達(株)棒原フィールドリサーチセンター
【試験概要】◎品種:とちおとめ ◎区制:1区 12株 3連制 ◎発生程度:多発生 ◎定植:12月1日 ◎処理日:11月26日(定植5日前) ◎処理方法:ベリマーク®SC 1000倍希釈液、対照F剤 500倍希釈液をそれぞれ定植5日前に株当たり50㎖小型ジョウロを用いて灌注処理した。 ◎処理時の作物ステージ:育苗期(9cmポリポット) ◎調査日:定植当日(12月1日)、定植6日後(12月7日)、13日後(12月14日)、20日後(12月21日)、27日後(12月28日) ◎調査方法:各区両端2株を除く10株の全葉に寄生する成虫および幼虫(混発したミカンキイロアザミウマ含む)+蛹数を調査。
詳しくはベリマーク®SC 製品ページへ
●ベネビア®OD

天敵・訪花昆虫を活かしながら、
アザミウマ類、アブラムシ類などの
重要害虫を防除します。
IPM(総合的病害虫・雑草管理)に適した使い方ができます。
いちごミカンキイロアザミウマに対する防除効果


2009年(一社)和歌山県植物防疫協会
【試験概要】◎品種:さちのか ◎区制:1区 4.8㎡ 32株 3連制 ◎発生程度:中発生(放虫)◎定植:9月9日 ◎処理日:4月10日 ◎処理方法:所定濃度の薬液を背負式電動噴霧器で300ℓ/10a散布。◎調査方法:各区10~33花について、白色アクリル板上で花を10回程度叩いて落下した成虫・幼虫を計数。◎考察:本剤は対照薬剤と比較して効果がほぼ同等で、無処理と比較して効果があり、実用性はあると考えられる。薬害は認められなかった。
詳しくはベネビア®OD 製品ページへ
防除におすすめの製品
*各製品のリンク先で登録内容を確認してご使用ください
ミナミキイロアザミウマ
アザミウマ目 アザミウマ科
Thrips palmi Karny Melon thrips
【加害作物】加害作物は広範だが特に問題となるのはナス科、ウリ科
ただしトマトには全く寄生しない
1978年に発見された侵入害虫である。加害の仕方は前述のミカンキイロアザミウマと同様であるが、被害症状が若干異なるため、区別できる場合がある(下表)。
侵入当初から農薬に対する抵抗性があり、侵入後も次々と新たな薬剤に抵抗性を獲得している。そして地域ごとに、抵抗性を示す薬剤の種類が異なっているため、注意が必要である。同じ農薬を繰り返し使わないことが大切である。
ミナミキイロアザミウマとミカンキイロアザミウマの被害の比較 | 葉表 | なす、ピーマンの被害 | きゅうり果実の被害 |
---|
ミナミキイロアザミウマ | 葉脈に沿って加害 | 果実に筋状の激しい奇形を生じる | 極高密度にならないと被害が出ない |
ミカンキイロアザミウマ | 葉脈間を主に加害 | 白斑症状等が主体。あまり奇形を伴わない | 低密度から奇形被害を発生 |
*本説明内容は2018年9月時のものです
防除に効果的な農薬
●ベリマーク®SC
きゅうりミナミキイロアザミウマに対する防除効果

2013年 福岡県農業総合試験場
【試験概要】◎品種:エクセレント節成353 ◎区制:1区 15株 2反復 ◎発生程度:少→多発生(放虫) ◎播種:6月4日 ◎定植:6月21日 ◎処理方法:ベリマーク®SCは、定植3日前に所定量を処理し、対照B剤は定植時に処理した。 ◎処理時の作物ステージ:2~3葉期 ◎調査日:処理 3日後(6月21日)、9日後(6月27日)、16日後(7月4日)、23日後(7月11日) ◎調査方法:各区内の全株について、1株当たり中位葉から2葉抽出し、合計30葉の葉裏に生息するミナミキイロアザミウマの幼虫と成虫を調査。
ベリマーク®SC 製品ページへ
●ベネビア®OD
きゅうりミナミキイロアザミウマに対する効果


2015年 埼玉農業技術研究センター
【試験概要】◎品種:クラージュ ◎区制:1区9.2㎡11株 3連制 ◎処理日:6月12日 ◎処理方法: 362ℓ/10aの割合で、葉の表裏が十分ぬれるよう背負い式バッテリー噴霧器を用いて散布した。◎調査日:6月11日、19日、26日、7月3日 ◎調査方法:各区10株について、株当たり上位2葉および中位2葉(計40葉)に生息する虫数を幼虫・成虫別に調査した。◎考察:本剤は、対照薬剤とほぼ同等の効果を示し、無処理区と比較しても高い防除効果が認められた。実用性は高いと考えられる。薬害は認められなかった。
詳しくはベネビア®OD 製品ページへ
防除におすすめの製品
*各製品のリンク先で登録内容を確認してご使用ください
ヒラズハナアザミウマ
アザミウマ目 アザミウマ科
Frankliniella intonsa (Trybom) Flower thrips
【加害作物】花粉を好み広範な作物に寄生する
しかし、被害を及ぼすのはトマト、いちご、ピーマンなど一部のみ
日本在来の害虫であり、野外の雑草にも普通に生息する。雌成虫は褐色でやや大型なので、ミカンキイロアザミウマやミナミキイロアザミウマと区別できる。しかし、雄成虫は橙黄色で区別は困難である。
花粉と蜜で生活しているので、葉などに被害は出さない。しかし、花内の子房に産卵することにより、果実が生育したのち産卵の痕が白斑等となり、商品価値が失われる。またウイルスの媒介も行う。
あまり顕著ではないものの、一部では農薬に対する抵抗性も獲得しており、注意が必要である。
*本説明内容は2018年9月時のものです
防除におすすめの製品
*各製品のリンク先で登録内容を確認してご使用ください
ネギアザミウマ
アザミウマ目 アザミウマ科
Thrips tabaci Lindeman Onion thrips
【加害作物】ネギ属を好むが広範な作物を加害する
日本在来の害虫で、従来から多くの作物に寄生していたものの、大した被害は起こさず、その名の通りねぎ・たまねぎの害虫であった。しかし近年、みかんや各種野菜でも多発生と被害が報告されている。また、一部農薬に対しては抵抗性を身につけている。
このため、登録農薬であっても、使用にあたっては、圃場の一部で試し散布をして効果の確認をした方が無難である。
外観は橙黄色の1.5mmほどの微少害虫で(冬場は色が濃くなるが)、他のアザミウマと肉眼で区別するのは難しい。
*本説明内容は2018年9月時のものです
防除に効果的な農薬
●ベリマーク®SC
ねぎネギアザミウマに対する防除効果

2011年神奈川県農業技術センター
【試験概要】◎品種:西田 ◎区制:1区 70株 3連制 ◎発生程度:多発生 ◎播種:3月24日 ◎定植:5月18日 ◎処理日:6月1日 ◎処理方法:本圃に所定量を灌注処理。 ◎処理時の作物ステージ:生育期 ◎調査日:処理6日後(6月7日)、13日後(6月14日)、22日後(6月23日)、28日後(6月29日) ◎調査方法:各区20株の各株中心2葉について幼虫数および成虫数を調査。(3区平均)
詳しくはベリマーク®SC 製品ページへ
●ベネビア®OD
キャベツネギアザミウマに対する防除効果


2009年 (一社)日本植物防疫協会研究所 高知試験場
【試験概要】◎品種:金系201号 ◎区制:1区 5.4㎡ 16株 3反復 ◎発生程度:多発生 ◎播種:3月15日 ◎定植:4月26日 ◎処理日:5月12日 ◎処理方法:肩掛け式動力噴霧器を用いて、葉の表裏が十分濡れるように散布。◎調査方法:各区10株の上位展開葉3葉に寄生する虫数を幼虫・成虫別に調査。◎考察:本剤散布は対照薬剤と比較して優り、無処理区と比較して高い防除効果が認められ、実用性は高いと考えられる。薬害は認められなかった。
詳しくはベネビア®OD 製品ページへ
●プリロッソ®粒剤オメガ/プリロッソ®粒剤
健全な生育をしっかり守る。
きれいな立ち姿のねぎにしあげる。
- 近年問題のネギハモグリバエ バイオタイプB(B系統)、薬剤のかかりにくい葉の隙間に潜むネギアザミウマにも、高い効果!
- 極微量の経口取り込みで、害虫の加害を即停止。3~4週間の長期残効。
- ジアミド剤のプロFMCの卓効成分シアントラニリプロール(通称、サイアジピル®)0.5%配合!
ねぎネギアザミウマに対する防除効果


2019年 鳥取県園芸試験場弓浜砂丘地分場
◎品種:関羽一本太(トーホク) ◎播種:2月20日 定植:5月8日 処理:6月13日(6kg/10a株元散布し、土寄せした)◎考察:対照薬剤と比較して高い効果が認められた。
※プリロッソ®粒剤とプリロッソ®粒剤オメガの薬効は同等です
詳しくはプリロッソ®粒剤オメガ 製品ページへ
詳しくはプリロッソ®粒剤 製品ページへ
防除におすすめの製品
*各製品のリンク先で登録内容を確認してご使用ください
害虫Wiki 野菜編コンテンツ