育苗の仕上げを灌注処理で行う
苗半作とも言われる通り、種苗の品質管理を適切に行って、良い状態の苗を本圃へ定植する事は、その後の健全な生育のためにとても大切なことです。育苗の仕上げに灌注処理を取り入れることで、定植後の健全な生育を手に入れましょう。このページでは、灌注処理の仕組みや利点を解説します。 灌注処理とは、セルトレイやポットの培土に希釈した薬液を処理して、作物の根から有効成分を吸収させ、植物体全体に行き渡せる処理方法です。
例えば、ベリマーク®SCやプレバソン®フロアブル5の場合、育苗期後半に灌注処理することで、本圃へ定植後も約3~4週間の殺虫効果を示します。これは灌注処理という方法によって、薬剤の特長である根からの吸収移行性と残効の長さが引き出されるためで、これにより、生育期の茎葉散布の回数削減も期待できます。 育苗期後半から定植当日であれば、いつでも灌注処理が可能ですが、定植前に植物体全体に有効成分を行き渡らせるため、葉菜類は定植の3~5日前、果菜類は定植の5~7日前の処理をお勧めしています。
灌注処理は苗処理のため天候を気にすることなく、他の作業の合間に処理ができ、まとめて処理ができることからも効率の良い防除方法といえます。また、散布と異なり、周辺作へドリフトするリスクを低くすることができます。
種苗の品質管理を適切に行うことは、JGAP基準の種苗の管理(青果物2016は23.1.青果物2010は4.4)でも規定されている通り、とても重要です。 果菜類・ 葉菜類の苗に灌注処理を適切に行って、今年の栽培でより良いスタートを切りましょう。