タマナギンウワバ
チョウ目 ヤガ科
Autographa nigrisigna (Walker) Beet semi-looper
【加害作物】アブラナ科が主体であるがレタス、にんじん等も加害する
暖地の平野部で多く見られることはあまりないが、高冷地などでは時として多発生する。
若齢のうちはヨトウムシに似ているが、集団行動することはない。また、少し大きくなるとシャクトリムシのように歩くので、はっきり区別しやすくなる。主に下葉を好むため、少発生のうちは問題になることはあまりない。しかし、葉表にほとんど出てこないこと、1頭あたりの摂食量も多いことから、発生量が高まると、被害は甚大となる。
農薬に対する抵抗性事例は報告されておらず、通常コナガ等の防除をしていれば問題にならない。近年、近縁のイラクサギンウワバの発生が、西日本を中心として認められている。幼虫は非常に似ており、圃場にて肉眼で区別するのは難しい。ただし、防除上の注意点は特に変わらない。
*本説明内容は2018年9月時のものです
害虫防除のヒント
タマナギンウワバの防除について
幼虫による被害と被害作物
幼虫は雑食性で特にキャベツ、レタス、ダイコンなどのアブラナ科作物での発生が多く、キク科、マメ科、セリ科など、非常に多くの作物を加害します。若齢幼虫では葉の裏側から表皮を残して加害するため、被害部分は白い痕となって残ります。齢数が大きくなるにつれ、摂食量が増え、葉に穴をあけるなど、大きな被害をおよぼします。
発生・生態について
年に4~5回発生し、特に春と秋に多くなります。雌成虫は葉上に饅頭型の卵を一粒ずつ産卵します。卵は最初は乳白色ですが、ふ化が近づくにつれて黒っぽくなります。幼虫はシャクトリムシのように歩き、成熟すると葉裏などで繭をつくって蛹となります。25℃条件下でおよそ一週間ほどで成虫となります。
農薬による防除
防除については基本的に農薬を用いた化学的防除になります。各作物に登録のある農薬を確実に用いましょう。特に大規模な圃場などでは、フェロモン剤、フェロモントラップなどを組み合わせて利用するのも有効です。
ベリマーク®SCは、育苗期後半~定植当日の灌注処理で素早く根から吸収され、ウワバ類から生育初期の作物を守ります。
また、ベネビア®ODは、生育期の散布処理で葉のすみずみまで浸達し、ウワバ類に対する高い効果を素早く発揮します。
防除に効果的な農薬
●ベリマーク®SC

大事な育苗期にこの1剤で、
幅広い重要害虫を速やかに防除。
長い残効で、作物をしっかり守ります。
キャベツタマナギンウワバに対する防除効果

2012年 長野県野菜花き試験場
【試験概要】◎品種:輝吉 ◎区制:1区 40株10㎡ 3連制 ◎定植:5月8日 ◎発生程度:少発生 ◎処理日:5月8日 ◎処理方法:ベリマーク®SC400倍500mℓ/セルトレイ、対照A剤 200倍 500㎖/セルトレイ ◎調査方法:各区10株の全葉について、生息する幼虫および蛹個体数を調査。
詳しくはベリマーク®SC 製品ページへ
●ベネビア®OD

すばやく食害をストップして、
葉裏の害虫も逃さない。
害虫の密度を抑制して、作物を長期間守ります。
キャベツタマナギンウワバに対する防除効果


2012年 千葉大学園芸学部
【試験概要】◎品種:金系201EX ◎区制:1区 6.0㎡ 10株 3連制 ◎発生程度:少発生(放虫)◎播種:9月25日 ◎定植:10月17日 ◎処理日:11月7日 ◎処理方法:肩掛け式噴霧器を用いて、1区当たり500㎖散布。◎調査方法:各区に寄生していた幼虫の個体数を調査。◎考察:本剤は対照薬剤と比較して効果が優り、無処理と比較して効果は高く、実用性は高いと考えられる。薬害は認められなかった。
詳しくはベネビア®OD 製品ページへ
●プレバソン®フロアブル5

品質と収量の安定に欠かせない
健全な苗から収穫前までの常備薬!
キャベツタマナギンウワバに対する防除効果

2008年 一般社団法人 青森県植物防疫協会
◎試験場所:青森県弘前市 ◎作物名:キャベツ(YR青春2号) ◎害虫名:タマナギンウワバ主体イラクサギンウワバ混発、多発生 ◎処理年月日:2008年9月9日(結球始期前) ◎処理方法:2000倍、250ℓ/10a
詳しくはプレバソン®フロアブル5 製品ページへ
●トルネードエース®DF
ブロッコリータマナギンウワバに対する効果

【試験概要】2024年 長野県野菜花き試験場 ◎対象作物:ブロッコリー ◎対象害虫:タマナギンウワバ ◎処理日:9月2日(展葉期) ◎処理量:150ℓ/10a ◎その他:展着剤(マイリノー、10,000倍)を加用
詳しくはトルネードエース®DF 製品ページへ
キャベツタマナギンウワバに対する効果

【試験概要】2024年 (株)フィールドステーション (山梨県北杜市) ◎対象作物:キャベツ ◎対象害虫:タマナギンウワバ 中齢 (2,3,4齢) 主体 ◎処理日:6月24日 (結球初期) ◎処理量:150ℓ/10a ◎その他:展着剤 (ドライバー、1,000倍) を加用
詳しくはトルネードエース®DF 製品ページへ
防除におすすめの製品
*各製品のリンク先で登録内容を確認してご使用ください