
FMCは140年近い歴史を持つ企業です。この間、多くの事業を立ち上げ、強化し、世界で成長してきました。
最近では旧デュポン社から農薬事業の主要製品群と、研究開発能力(研究者、研究施設、研究資産)をグローバル全体で取得する幸運に恵まれました。将来有望な新規化合物が研究開発パイプラインに多数控え、世に出る日を待っています。一方FMCは元来、マーケティング力、機動力に優れた企業で、同じ化合物でも製剤を変え、売り方を変え、差別化をし、業界に貢献してきました。この旧デュポン社から引き継いだイノベーションエンジンと、元来FMCが持つ機動力、マーケテイング力を合わせることで、変革期を迎えている世界の農業に新たな付加価値を創造できると確信しています。FMCは新しく生まれ変わりました。
日本の農業も戦後最大の転換期を迎えたと言われ既に数年が経ちます。曲がり角の先にはおぼろげながら日本の農業の将来の姿が見えてきたのではないでしょうか。もちろん行く手は平坦ではありません。農薬業界では再評価制度の導入、規制の合理化、業界再編など多くの課題を抱えています。一方日本の農業も人口減少、生産者の高齢化、集落営農の維持、絶え間ない自然災害、そして昨今のコロナ禍によるバリューチェーン全体の機能継続など、食料を持続的に安定供給するには大きな課題があります。だからこそ、科学技術が果たす役割は今まで以上に大きくなっています。
よく「未来は現在の延長線上にない」と言われますが、10年後、20年後の日本の農業がどうなっているかを考え、ゼロベースであらゆる可能性を排除せず、前広に失敗を恐れずチャレンジしていきたいと思います。見方次第で農業の可能性は無限にあります。それらを成功させる為に一番大切なものはパートナーの皆さんとの協業、コラボレーションだと確信しています。日本にはそれぞれ素晴らしい強みをもたれている企業や組織が数多くあります。そうした皆さんと一緒に取り組むことで、困難を可能性に満ちたものと捉え、この日本の農業を皆さんと明るくしていきたいと思っています。
新生FMC社員一同、一丸となって精進を重ねて参ります。皆様とともに収穫の未来へ。
代表取締役社長
平井 康弘