ダニ目の特徴と効果的な防除方法
茶に被害を及ぼす主要害虫の特徴と、効果的な防除情報をご紹介します。
カンザワハダニ
ダニ目 ハダニ科
Tetranychus kanzawai Kishida
雌成虫と卵
被害(吸汁による褐変)
被害園
天敵ケナガカブリダニ(右)
日本全国に分布。チャを加害するハダニではもっとも被害が大きい。幼~成虫が葉裏にのみ寄生し、葉を吸汁加害する。古葉の加害は顕著な被害とならないが、新葉や新芽が加害されると、葉の黄化や褐変、巻葉等を生じ、時に落葉する。茶園全体の密度が高い場合は、収量の減少に加えて製茶品質の著しい低下をもたらす。
鮮やかな赤色をした休眠雌成虫が越冬し、2月下旬~3月に休眠から覚めて産卵を開始する。世代時間が短く、年間世代数は10回程度である。春から初夏にかけて発生ピークとなり、夏季に減少した後秋に再び増加する二山型の発生パターンが見られる地域が多い。
防除は、越冬後の一番茶萌芽前、一番茶摘採後、秋の秋芽生育期、10月中~11月中旬の越冬前等に行われる。ケナガカブリダニ等の在来天敵の活躍により、年間の防除回数が減少している地域も多い。
*本説明内容は2018年9月時のものです
チャノナガサビダニ
ダニ目 フシダニ科
Acaphylla theavagrans Kadono
チャノナガサビダニの成虫と幼虫
チャノナガサビダニの被害
日本全国に分布。葉の両面に寄生するが、裏面により多く寄生する。また成葉に多く寄生し、葉の黄化や褐変、萎縮を引き起こし、著しい場合は落葉させる。
雌成虫は体長0.2mm程の紡錘型のダニで、橙黄色を呈する。4~6月の一番茶・二番茶期および9~11月の秋芽生育期に多発する。近年は二番茶期の被害が多い。
*本説明内容は2018年9月時のものです
チャノサビダニ
ダニ目 フシダニ科
Calacarus carinatus (Green)
日本全国に分布。古葉、新葉とも葉の両面に寄生し、葉を暗緑色から暗褐色に変色させる。被害が甚だしい場合は落葉する。
雌成虫は体長0.2mm程の厚みのある紡錘型のダニで、暗紫色を呈し、体軸に沿って3本の白い条線がある。詳しい生態は不明であるが、晩秋から早春に確認されることが多い。
*本説明内容は2018年9月時のものです
チャノホコリダニ
ダニ目 ホコリダニ科
Polyphagotarsonemus latus (Banks)
チャノホコリダニの成虫と卵
チャノホコリダニの被害
九州以北の日本各地に分布。展開前の未熟な葉を好んで寄生するため、被害葉は展葉せず奇形化する。加害された新葉は、黒みがかった褐色となり硬化する。被害が甚だしい場合は葉裏が褐色のかすり状となり、生長が著しく阻害される。
雌成虫は体長0.25mm程のダニで淡黄褐色、卵は表面に気泡状の小突起を有する。一般に高温・多湿条件下で発生が多く、茶園では8月中旬から秋にかけて見られることが多い。
*本説明内容は2018年9月時のものです
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